言語習得と幼年期の奇妙な関係について。
人間の言語というのは他の動物のそれに比べて圧倒的に複雑な表現をすることが可能である。 このことから(程度の問題はあるが) 複雑な言語情報の処理と言うのは、人間と言う種の固有の能力ということができる。 さらにこの言語の習得には適切な時期が存在していると言う臨界的仮説と言うものがある。 簡単に言えば、人間は2 – 15 才前後の幼年期に言語を習得すると言うものだ。
これに加えて 人間という種の固有の特徴の1つに、この幼年期が他の動物に比べて非常に長いと言う特徴がある。 例えば、人間に近い霊長類のニホンザルは 大人として成熟するまでに、オスでメスで差異はあれど 5 – 9 年かかるらしい。
つまり、ここで人間固有の特徴が2つ抽出される。 人間だけが複雑な言語を扱えるということと 人間だけが幼年期が長いと言うことだ。
すると1つの逆説的な仮説が立てられる。 すなわち、 人間は幼年期に言語を習得するのではなく、言語習得のために必要な期間として幼年期が調整されたのではないかと言う仮説である。
これは非常に挑戦的だが、言語習得と幼年期について、次の通った説明ができると言う点で興味深い仮説である。
参考文献
- 京都大学大学院理学研究科 生物科学專攻 動物学系 人類進化論研究室https://jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp/FuscataHome/hattatsu.html
- 畠山雄二. (2017). 最新理論言語学用語事典. EBSCO eBooks.