統計的普遍性からはみ出す人間性


最近ずっと仕事の方がバタバタとしており,なかなか文章を書く時間が取れなかったが一段落ついたので久しぶりに文章メインの投稿をしたい.

今まで計算言語学的な観点からコード実装の練習も踏まえて Alice の分析をしてきたが,そのきっかけとなった『言語とフラクタル-使用の集積の中にある偶然と必然-』 を改めて読み返している.その中で著者が非常に興味深い内容を記していた.

それは言語内の人間的要因という観点である.

…理想形としての統計的前提の中に、言語は少し偏った形としてあり、その一部は人間的要因を表している可能性がある。
Tanaka (2021)

この1文は私にとって非常に興味深い内容である.別の投稿で,ミニマリストプログラムの言語設計における第3要因 (The third factor ) についてまとめたが,この文脈で捉えると統計的前提という範疇として捉えることができるだろう.そして,その部分から偏る領域こそ人間言語の特異性,生得性と捉えることが可能かもしれない.

具体的に言えば,Merge 操作という特異性が全体に対して制約をかけることで,もしかすると統計的な前提を逸脱する構造を生み出すのかもでしれない.

参考文献

  • 田中久美子 (2021)『言語とフラクタル-使用の集積の中にある偶然と必然-』 東京大学出版会.

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