音響音声学を理解するための基本要素
音響音声学は, 人間の発話による空気の振動を深く取り扱う分野である. 空気の振動は物理的な現象であり, そのため客観的な研究をするためには, 数学や物理学の理論が必要である. 音響音声学では特に, 「フーリエ変換」がよく使われる. この演算には三角関数が不可欠であるため, 今回は三角関数について復習する.
三角関数は, 直角三角形の辺の比率を基にしている. 具体的には, 直角三角形の一つの角度(θ)に対して次のような関数がある:
- 正弦(sine, sin): 直角三角形の斜めの辺(斜辺)と, 角度の向かい側の辺(対辺)の比率
- 余弦(cosine, cos): 斜辺と, 角度の隣の辺(隣辺)の比率
- 正接(tangent, tan): 隣辺と対辺の比率
これらの関数は波形の性質を持っており, 音声波形の解析に非常に役立つ.
フーリエ変換は, 複雑な波形を単純な正弦波と余弦波の重ね合わせに分解する技術である. これにより, 音声信号の周波数成分を抽出することが可能である. この過程で三角関数が重要な役割を果たす.
音響音声学では, 音声信号のスペクトル解析やフィルタリングなどが行われるが, これらの処理の多くに三角関数が使われている. したがって, 三角関数の理解は音響音声学を学ぶ上で非常に重要である.
参考文献
- 「三角関数」と「波」の関係-三角関数による「波」の表現と各種の波(電磁波、音波、地震波等)-https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67789?site=nli