より発展した研究のために
以前の投稿で, 遺伝学的アプローチや構成論的研究の限界について触れた. そこでは限界のポイントにのみ言及したが, 限界を示すだけでなく「どのように課題を解決し, 限界を超えるか」という問いも必要であろう. その点についても補足しておきたい.
Hauser et al. (2014)は, 論文内で4つの方法論を提示し, 次のような発展の必要性を提案している.
- 比較動物行動学: 動物のコミュニケーション能力を評価する新しい方法の開発. 特に, 強化訓練を必要としない自発的な一般化能力を測定する技術の導入.
- 古生物学と考古学: 現代の技術を用いて化石や頭蓋の詳細な分析を行い, 脳の内部構造や言語能力の痕跡を探る.
- 分子生物学: ゲノム解析やトランスジェニック技術の進展を活用し, 遺伝子と言語プロセスの関連性を深く理解する.
- モデリング: 言語の核心的な計算プロセスやその表現の起源をモデル化し, 仮説の妥当性を実証的に検証できる現実的なモデルを構築する.
(Hauser et al., 2014)
大規模な枠組みで議論されるこれらの研究は, 難しさを伴う一方で, 非常に魅力的で胸躍るテーマでもある.
参考文献
- Hauser, M. D., Yang, C., Berwick, R. C., Tattersall, I., Ryan, M. J., Watumull, J., … & Lewontin, R. C. (2014). The mystery of language evolution. Frontiers in psychology, 5, 401.