単語の処理およびアクセスを調査する実験パラダイム


脳の実験パラダイムにはさまざまなものが存在する. 特に言語能力は一つのカテゴリーにまとめられるものではなく, 文法処理, 単語処理, 音韻処理, 意味処理など多岐にわたる. そのため, 言語処理能力を測定する際には多様な工夫が求められる.

Lexical Decision Task(LDT)は, 言語処理を観察する際の実験パラダイムの一つであり, 今回はその概要をまとめたい. LDTは心理言語学や認知神経科学の分野で使用され, 視覚的に提示された単語の認識や, 語彙へのアクセスに関わるプロセスを調査することが可能である. この課題では, 被験者は一連の刺激を受け, その刺激が実在する単語(words)であるか, あるいは疑似語(pseudowords)であるかを迅速かつ正確に判断することが求められる. 疑似語とは, 実在する単語に似た構造を持つが意味を持たない語である.

LDTを通じて, 単語の知覚的特徴の処理とそれに関連する意味処理の違いを明らかにすることができる. 具体的には, 被験者は単語の意味を意識的に処理するよう指示されていなくても, その意味は無意識的に処理されることが示されている. このため, 単語の意味的性質(例:感情的な内容)が, 反応時間や判断の正確性に影響を与える場合があるからである.

参考文献

  • Tattersall, I. (2019). The Minimalist Program and the origin of language: a view from paleoanthropology. Frontiers in Psychology, 10, 677.

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