どうやって色彩語彙が発達するか


人間の個別言語は,それぞれ独自の進化の道をたどってきたと言える. 例えば,日本語と英語では使用する語彙が全く異なる. また,人間の認知において同じ対象であっても,言語によって異なる表現を用いることがある. 日本語では虹を7色として表現するが,他の言語では7色よりも多かったり少なかったりする場合がある. このような現象については一度は聞いたことがあるだろう.

言語間の進化を考察する上で,色彩語彙は非常に興味深い振る舞いを示す. Berlin and Kay (1969)は,20の言語を対象に色彩語彙の差異を調査した. その結果,色彩語彙が増加していく過程において,同様の進化的傾向が見られることが分かった. 具体的には,以下のような段階的パターンである.

  1. Stage I (第1段階):
  2. 使用される基本的な色彩語: White (白)Black (黒)
  3. Stage II (第2段階):
  4. Red (赤) が加わる.
  5. Stage III (第3段階):
  6. Green (緑) または Yellow (黄) のどちらかが追加される.
  7. Stage IV (第4段階):
  8. Stage IIIで選ばれなかった Green (緑) または Yellow (黄) が追加される.
  9. Stage V (第5段階):
  10. Blue (青) が追加される.
  11. Stage VI (第6段階):
  12. Brown (茶色) が追加される.
  13. Stage VII (第7段階):
  14. 残りの色(Purple (紫), Pink (ピンク), Orange (オレンジ), Grey (灰色))が追加される.

(Berlin & Kay, 1969)

この研究結果は,言語の文化進化が人間の認知能力や生物的な要因によって制限されている可能性,もしくは生得的な要因を仮定できる可能性を示唆している.

参考文献

  • Berlin, B. & Kay, P. 1969. Basic color terms: Their universality and evolution, Univ of California Press.

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