情報処理システムのレベル
デビッド・マー(David Marr)が提唱した分析の枠組みで「Marr’s Levels」という情報処理システムを3つの異なるレベルで考察する方法がある (Marr, 1982). 具体的な3つを詳細に次にまとめる.
まず、計算理論(Computational Theory)である。このレベルでは、システムが何を達成しようとしているのか、その目的や適切性、戦略の論理を明らかにする. 例えば、キャッシュレジスターの計算理論では, 「何を計算するのか」と「なぜその計算が必要なのか」を理解することが含まれる.
次に、表現とアルゴリズム(Representation and Algorithm)のレベルがある. ここでは、計算理論を実現するためにどのような表現方法やアルゴリズムが用いられるかを検討する. キャッシュレジスターの例では、アラビア数字を用いた加算アルゴリズムや、繰り上がりの処理方法が具体的に示される.
最後に、ハードウェア実装(Hardware Implementation)のレベルが存在する. このレベルでは、前述の表現とアルゴリズムを物理的にどのように実現するかを考える. キャッシュレジスターの場合、数字を表示するための金属ホイールや、デジタル回路による電気的実装が該当する.
Marr’s Levelsは情報処理システムを多角的に分析するための基盤を提供しており情報処理システムを多層的に理解するための興味深い発想である.
参考文献
- Marr, D. (1982), Vision: A Computational Approach, San Francisco, Freeman & Co.
- McClamrock, R. (1991). Marr’s Three Levels: A Re-evaluation. Minds and Machines.