図と地


認知言語学は(源流にはその流れがあるといえ)生成文法と異なる理論や概念を用いて言語構造の仕組みを考察する.

その際に用いられる中心的な概念として,Figure & Ground(図と地)というものがある.

これは心理学の概念を用いたもので,物事を認知する際の基本能力だと考えられる.

Figure(図)は,対象を認知する際に注目を集めるもの(集めやすいもの)を指す.一方のGround(地)は対象を認知する際に注目を集めにくい,いわば背景になるようなものを指す.

これは認知の基本的な能力であり,このFigure & Groundを分ける分化能力が言語システムにおいても重要な役割を果たすと認知言語学では考える.また,こういった能力は人間に共通するものであるためヒトの言語においてもある程度の普遍性が想定できるということになるだろう.

私は生成文法を主にやっているので別の意見や疑問を持つ点も多くあるが,他方で生成文法では説明がつかない現象が認知言語学では説明できる点があることも事実である.より深く認知言語学を学んでいきたい.

しかし,言語が収斂進化をするようなイメージはあまり浮かばないが・・・.

参考文献

  • 岡, 智之. (2020). 認知言語学から場の言語学へ : 新しい言語学のパラダイムの展開. 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系, 71, 537–556. https://cir.nii.ac.jp/crid/1050288469016657152

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