UGを考える
生成文法は当初から人間の言語能力を生物的な特徴として位置づけ, その観点で言語能力を研究してきた. その発想はbiolinguistic(生物言語学)という枠組みで発展してきたが, この観点でChomsky (2024)はUGが満たさなければならない主要な実証的な条件を2つ提案している.
Within the biolinguistic framework, UG must satisfy two primary empirical conditions.5 One has been called “Plato’s problem”: How can a particular language be acquired on the basis of available evidence, the problem of Poverty of Stimulus (POS)? The second is “Darwin’s problem”: How can the faculty of language FL have evolved under the conditions of human evolution?
(Chomsky, 2024, p. 2)
「生物言語学的枠組みにおいて, 普遍文法(UG)は2つの主要な経験的条件を満たす必要がある.5つは「プラトンの問題」と呼ばれてきた. これは, 提示される証拠に基づいて特定の言語がどのように習得されるか, つまり「刺激の貧困(POS)問題」である. 2つ目は「ダーウィンの問題」である. これは, 人類の進化の条件下で言語機能(FL)がどのように進化したかという問題である.」
(Gemini 訳)
プラトンの問題は, 生成文法の当初から念頭に置かれており, むしろこの問題を克服するために生得的な機能を仮定している側面すらあった. 他方で, ダーウィンの問題は明確に進化上の問題であり, これはミニマリストプログラムが我々の言語をなぜそうなっているのかと問う際にも非常に重要な観点になっていると言えるだろう.
参考文献
- Chomsky, N. (2024). The miracle creed and SMT. A Cartesian dream: a geometrical account of syntax: in honor of Andrea Moro, 17-40.