言語をどのようにモデル化するか
ミニマリスト・プログラムでは, 計算効率等を含め, 言語は可能な限り最適な設計がなされていると考える. 計算といえば, 文字通りコンピュータ(計算機)である. 実際, 様々な試みの中で, 言語モデルをコンピュータモデリングで再現しようとする研究がなされている.
Fong & Ginsburg (2019)もこのような試みをしているが, その中で処理の実装方法について非常に興味深い実装を行っている.
Also, by not deleting valued stack elements, it is possible to implement movement such as topicalization and rightwards displacement without resorting to the invention of non-substantive unvalued features for the sole purpose of keeping a stack element “active” (necessary in a strict feature-checking model).
(Fong & Ginsburg, 2019, p. 23)
これはコンピュータ上の処理で利用したものを削除するかしないかという判断であるが, こういった細かい実装がそのモデルの妥当性を裏付けるものであり, コンピュータモデリングを作る際には非常に重要な観点になるであろう.
他方で, 最近考えているのが, こういったデジタル上のシミュレーションが, 我々の脳というアナログな環境内でどのような差異を生じさせるかという点である.
参考文献
- Fong, S., & Ginsburg, J. (2019). Towards a minimalist machine. In R. C. Berwick & E. P. Stabler (Eds.), Minimalist parsing (pp. 16–38). Oxford University Press.