脳の辞書
人間の脳がどのように言語処理しているかという観点では,非常に様々な研究が行われている.その中でも今回は,ネイチャーが作成した動画を取り上げたい.
この研究では,単語の意味(セマンティクス)が脳全体および両半球にわたって,高度に組織化された形で配置されていることが明らかにされている.
研究チームは,被験者に物語を2時間聴取させ,その際の脳血流変化をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で測定した.得られた膨大なボクセルデータと単語の意味情報を照合し,どの部位がどのような概念に反応するかを計算モデルによって可視化した.
その結果,脳表面は意味カテゴリーごとに色分けされた「辞書」のように機能していることが示された.例えば,「家族」や「妻」などの社会的単語は側頭頭頂接合部に,「数字」や「測定」に関する単語は別の特定領域に集約されている.
また,単語が配置される場所は,既存の脳機能と論理的に整合している.例えば,視覚的特徴(縞模様など)を表す言葉は,視覚皮質の近傍で処理される.
そして,地図の細部は個々人で異なるものの,基本的な意味の配置構造は個人間で驚くほど共通しているとのことである.
このような神経科学的なアプローチによる言語研究は,非常に興味深いものである.
参考文献