距離が離れると, 意思疎通ができなくなる.


Graesser et al. (2019) による論文は, コンピューターシミュレーションモデルとして非常に興味深いものである.

そこで今回も, 本論文を基に言語変異について考えてみたい.

この論文の別の報告では, 非常に興味深いシミュレーションを行っている. それは, 複数のコミュニティを用意し, 隣接したコミュニティ同士でしかコミュニケーションが取れないという制限を課すものである. これによると, 隣接したコミュニティ同士はコミュニケーションが取れるが, コミュニティ間で距離があるもの(本論文における C1 と C5 といったコミュニティ)は, コミュニケーションの成功率がほぼ偶然に近づくまで下がってしまうという.

The agents from a pair of adjacent communities can communicate with each other almost as well as those within a single community, while communicability rapidly degrades as the distance between a pair of commu-nities grows (off-diagonal). The agents from C1 and C5 cannot understand each other at all, achiev-ing the near-chance success rate.

(Graesser et al., 2019, p. 3708)

これを人間の言語に置き換えて考えてみれば, レキシコンなどの変異によりコミュニケーションが取れなくなると考えられるだろう. なおかつ, それがコミュニティ間の距離, もしくは介在するコミュニティの数によって変わっていくというのが, 非常に興味深い現象である. こういった制限を課したシミュレーションなど, 自ら取り組んでみたい研究がこの論文にはたくさん載っており, とても面白い.

参考文献

  • Graesser, L. H., Cho, K., & Kiela, D. (2019). Emergent linguistic phenomena in multi-agent communication games. In Proceedings of the 2019 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing and the 9th International Joint Conference on Natural Language Processing (EMNLP-IJCNLP) (pp. 3700-3710). https://doi.org/10.18653/v1/D19-1385

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