話者の発生の研究
前回の投稿で, 音声学には三つの分野が存在していることを示した. 今回はその中で調音音声学 (articulatory phonetics) についてまとめたい. 人間の言語音とは肺から体外への空気の流れを阻害することで様々な音を作り出している. 調音とは言語音を作り出す際の咽頭より上の舌などの器官を使って作業のことを示す. つまり, 調音音声学は人間が言語音声を発声する際に用いる器官の動きを客観的に分析し記述する学問である.
例えば, 「ぱ」という音を何回もゆっくり出してみて欲しい. すると, 「ぱ」という音は口の上側と下側の両唇が一度接触し, そこが離れる際に音が出されることが体感できるのではないだろうか. このように普段は無意識に使っている言語の音声は, 言語音声が発生する際に, 身体の器官を用いて弁別できる形に調整されて発声される.
客観的に記述するためにはある程度の指標が必要になる. 調音音声学では伝統的に下記の三つの観点から音の特徴を捉えて記述する.
- 調音点 : 音を出す際に使う器官の場所
- 調音法 : 音を出す際に器官をどのように使うか
- 有声性 : 音を出す際の声帯の状態はどうなるか
参考文献
- 斎藤, 純男, 田口, 善久, & 西村, 義樹. (2015). 明解言語学辞典. 三省堂. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB19119305
- 川原繁人. (2018). ビジュアル音声学.