他の種ではなく、人間の大人と幼児での言語能力の比較。


人間は言語能力の複雑性において突出している種である。

様々な研究分野において、他の種との比較研究は行われてきた。 例えば、学習説と生得説の比較で紹介した行動主義心理学 (behaviorism)のスキナー箱を紹介したが、この観点から「刺激」と「反応」という点で人間と他の種の比較も可能だろう。

しかし、 言語能力が人間と言う種に固有の突出した能力であるとするならば、多種族との比較ではなく同種族、つまり人間間での比較ということにも非常に重要な価値がある(ここで言う人間間とは人種的な意味合いではなく、子供と大人と言うような成長過程の違いの意味である)。

Friederici (2017)は実際にヒトと類人猿の比較のみではなく、新生児と成人のヒトの脳を比較し、BA44と上側頭皮質後部の線維路を介して接続された神経回路の発達は文法能力の発達と因果をもつ可能性を提示している。つまり、この神経回路が発達するに伴ってより複雑な文法能力を実現できるのではないかという可能性である。

こういった脳科学的な見地から、言語について研究できることが、神経言語学の面白みといえよう。

参考文献

  • Friederici, A. D. (2017). Evolution of the neural language network. Psychonomic bulletin & review, 24, 41-47.

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