失語症と構音障害の違い。


失語症(aphasia)について以前本ブログで書いた。

事故や卒中などで脳に何がしかの損傷を受けた場合に言語能力が阻害される障害のことである。

失語症にもさまざまな種類の失語症があるが、それとは別に構音障害(dysarthria)と呼ばれる障害が存在する。これは言葉を発話する際に本来の音を発話するということが阻害される障害である。

例えば、「男の人が」という発話するところを「オトトドイドガ」と発生してしまうような症状を示す。

この構音障害の原因には3種類の考え方があるが、どれも根幹は発話に関わる筋肉制御の問題だと言える。

  1. 構音器官そのものの損傷や病変による構音障害。
    口唇口蓋裂などの発声器官そのものによるケース。
    耳鼻咽喉科領域の対象。
  2. 筋肉の運動を制御する神経系の病変による構音障害。
    中央神経、末梢神経等の制御機能部位の病変によるケース。
    神経内科領域での対象。
  3. 音韻学習過程での発達障害による構音障害。
    言語治療学の対象。

(Hirayama 1994)

この構音障害は言語能力自体には通常は問題が無い。そのため、こちらの発話内容に対する理解は正しく行うことができるし読み書きの能力も問題ない。つまり、言語能力ではなく、言語運用に関する障害と考えることができる。これが失語症と異なる部分である。

失語症は言語能力が阻害されるために、発話内容に対する理解や読み書きができなくなる症状が見られる。

参考文献

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