除去という作用


言語進化という問題がある. これはさらに細分化されて生物進化と文化進化という二つの側面があるが, 共通して持っている根本の発想には進化というメカニズムが存在している. ダーウィン以降の世界は進化学を発展させてきたが, そのメカニズムについて非常に端的な名文を学んだ. それが, Stuart Kauffmanという理論生物学者の著作にある. 下記である.

ランダムな突然変異と自然淘汰による選別. これが基礎であり核心である. ここには, 偶然の出来事, 歴史的偶発, 除去によるデザイン設計といった観念が含まれている.
(Yonezawa 訳, 2008)

この「除去によるデザイン設計」というのが, 進化を端的に表している名文であると感じた. 進化は自然淘汰による選択圧という言い方をよくするが, それは突き詰めて言えば, この「除去によるデザイン設計」という一言で表現できる. さらにこの観点を言語進化に取り入れれば, 発生したものの除去されて消滅したケースという方向にも意識を向けることができる. つまり, 我々はつい今あるものの共通点を見出そうとしてしまうが, こういったものは消滅するというケースを考慮に入れる発想が出てくる. (当然, それは消滅したものなので観測が難しいが…)

参考文献

  • スチュアート・カウフマン 米沢富美子. 自己組織化と進化の論理: 宇宙を貫く複雑系の法則.

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