他の分野から見えてくること。
私の研究分野は神経言語学 (Neurolinguistics)とよばれる比較的新しい分野である。
名前からも分かる通り、この分野は神経科学と言語学を組み合わせたような研究である。神経学は広くは生物学の一部であるし、生物学は進化学とも関連を持つ。つまり神経言語学は非常に学際的な研究分野である。
最近この神経言語学のための資料づくりをしているのだが、つくづく面白いと感じている。言語学だけでは気付かない観点、神経科学や新科学では持ち得ない視点がこれらを組み合わせることで見えてくる。この感覚が非常に気持ちいい。
そもそもの新しい知識を獲得するのも当然楽しいが、今まで自分が学んできた言語という対象を他から見るとこうなるのかという今まで見えていなかった面が見えるようになるのが非常に気持ちいい。
巨人の肩の上に立つ の巨人というのは、何も自分の専門だけではない。世界中の人々が長年研究してきた様々な叡智の結晶の上で今の我々は暮らし研究をしている。他方、昨今は研究の細分化が進みすぎているという点も指摘されている。神経言語学のような学際的な研究がこの指摘を克服し、巨人の肩をさらに高くできると考えている。