Kindle Paperwhiteを2年半使って感じたのは,新しい読書体験を提供してくれる板だということ.
私は2017年の夏から今まで,約2年半このデバイスを毎日使ってきた.これはその2年半の所感をまとめたものだ.
1. イントロダクション
Kindle PaperwhiteはAmazonが販売する読書専用端末だ.読書専用端末ということだけあって,一般的なスマートフォンなどに比べると色々な点で違いが見られる.
最初に良い点と悪い点をまとめておきたい.
良い点
- バッテリーの持ちが良い
- E Inkが良い
- 電子書籍の強みが良い
- Kindleのセールで簡単に本体代の元を取れるのが良い
悪い点
- カラー画面ではない点
- 画面サイズが小さめな点
- Kindle専用端末な点
良い点も悪い点もそれぞれある.しかし,私はこの2年半を通じて手に入れて本当に良かったと思っている.Kindle Paperwhiteは新しい読書体験を提供してくれたから.
以下に詳細を述べることにする.
2.良い点についての詳細
このチャプターではKindle Paperwhiteについての良い点を詳細に述べる.
2.1 バッテリーの持ちが良い
Kindleは読書専用端末だけあって本当にバッテリーの持ちが良い.公式サイトの説明にはこう書かれている.
明るさ設定10、ワイヤレス接続オフで1日30分使用した場合、1回の充電で数週間利用可能。ワイヤレス接続およびライトの使用によって利用できる時間は異なります。
Amazon 公式サイト
個人的には明るさ設定10というのは眩しいくらいなので,それより低い7という設定にして,最低1時間ほどは毎日使っている.ワイヤレス接続は常にオンになっている.
その環境で使うと,月に1回充電すれば十分というのが私の感想だ.スマホやタブレットで,このレベルのバッテリーの持ちを実現している機種はまず無い.充電残量を気にしながらの読書なんてしたくない.その点を克服しているのは,さすが読書専用端末と言える.
2.2 E Inkが良い
2.1で述べたようにKindleの電池持ちは他の端末と比べると卓越していることがわかる.では何故,ここまで優れたバッテリー持ちが可能なのか.
その理由の一つがE Inkである.
E Inkという言葉は本来はアメリカの会社の名前であるが,今では電子ペーパーのこと自体を指すことが多い.電子ペーパー,つまり電子による紙である.ここでは技術についての細かい説明は省くが,この電子ペーパーE Inkはバッテリーの消費を極限まで減らしながらディスプレイを動かすことができる.このおかげで,ここまで長いバッテリーライフが実現出来ている.
さらに,この特殊なディスプレイのおかげで目を疲れさせると言われているブルーライトの発生も防いでいる.実際の紙と変わらない読書体験を可能にしているのだ.なので,スマホやパソコンと違って目が疲れることもない.今までの電子書籍の欠点を解決した,まさに新世代の紙と言える.
2.3 電子書籍が良い
E Inkのおかげで今まで慣れしたんでいた紙と同じように本が読めるようになった.しかし,ただの紙でいいのならわざわざ電子書籍にする必要はない.電子書籍にはもちろん,紙には無いメリットがある.そして,それこそがKindleの素晴らしい点だ.
このチャプターでは,電子書籍だからこそ実現出来るメリットを紹介したい.
文字の大きさを変更できる
従来の紙は一度印刷したら,それ以上の変更はできなかった.しかし,電子書籍で用いられるのは紙ではなくスクリーンだ.そこには無限の可能性がある.例えば,文字サイズの変更である.本によっては文字が小さすぎる時や大きすぎる時がある.Kindleなら自分の好みに文字の大きさを変えることが可能だ.これは電子書籍ならでは.
ここまで簡単に文字サイズが変更可能だと,気分や目的によっても使い分けたりできる.
例えば,最初に読むときには大きめの文字サイズでじっくり読み,2回目以降の復習するときでは小さい文字サイズで1ページあたりの情報量を多くしてサクサク読んでいくという使い方もできる.
辞書が使える
本を読んでいると,たまに知らない言葉に出会う.それも読書の楽しみの一つだ.しかし,知らない言葉をそのままにしていては本の内容が理解できない.その言葉を調べる必要がある.Kindleならワンタップで辞書にアクセスできる.これも電子書籍ならではの利点だ.特に嬉しいのはいつでもどこでも辞書を引けることだ.電車の中でもワンタップで辞書が弾けるのは本当に重宝する.
マーカーを引くことも可能なので復習もできる.マーカーは単語だけでなく,文にも可能なので気に入ったフレーズのメモ帳として使える.
どんな本でも何冊でも持ち運べる
本には色々なものがある.厚いものもあれば,薄いものもある.大きいものもあれば,小さいものもある.特に大きくて厚い本は場所も取るし,持ち歩くことは難しい.
電子書籍はデータだ.だから,あるゆる本を何冊も一つのデバイスで運ぶことができる.これは本当に便利だ.最近はリチャードドーキンスの利己的な遺伝子を読んでいるが,この本は紙だとこのサイズである.
一方Kindleはこのサイズ.重さもたった182g.片手でひょいと持ちながら同じ内容が読める.(比較はiPhone XS)
軽いので読みやすい点ももちろん重要だが,それ以上に読書へのハードルを下げてくれることも大きい.例えば,大きい本を通勤中に読むというのは難しいし,そもそも持って行こうという気が起きない.結果,読まないままホコリをかぶるということも少なくない.しかし,Kindleはどんな本もスマホ感覚で読むことを可能にしてくれるので読書時間が増える.さらに同時に何百冊という量の本を持ち歩くことができる.持ち運べる本棚という感覚だ.
それだけでもKindleを買う価値があると言える.
Kindleセールで簡単に元を取れるのが良い
Kindleは頻繁に本のセールを行う.そのセールは本当にお得なことが多い.半額セールというのも珍しくないし,70%オフなんていうものもある.Kindleの本体価格は一番安いモデルで,¥ 8,980からとなっている(2018年3月現在).端末に¥9,000は高いかもしれない.
しかし,本のセールが頻繁に行われているため実際は簡単に元が取れてしまう.
例えば,毎月¥1,500の本を一冊買うとする.この本が半額セールなら¥750節約できる.一年経てば¥750×12で¥9,000だ.一年で元を取ることになる.しかも,本が高いほど半額の威力は大きい.
本体代は先行投資と捉えることができる.
悪い点についての詳細
このチャプターではKindleの悪い点について述べる.
小さく,カラー画面ではない点
KindleはE Inkの関係で画面がカラーではない.白黒だけである.
活字本を読むときには最高だが,カラーの雑誌や写真集などを読むには不向きな端末である.こういうときにはスマホやタブレットを使う必要が出てくる.これは読書専用端末の弊害とも言える.
カラーのE Inkも開発中らしいので実用化が待たれる.
また,画面サイズも雑誌や大判の本を想定して作られてはいない.基本的には活字本を想定した設計である.持ち歩きには非常に便利なサイズだが,見開きが必要な本などには向いていない.
こうしたことから,雑誌や大型の本を読むときにはタブレットなどの方が便利になるだろう.
(マンガは行けないことはないという感じである.しかし,快適に読めるとは言いづらい)
Kindle専用端末
この端末はAmazonのKindleというマーケットの専用端末だ.最近ではAmazonの他にも,GoogleのBooks on Google PlayやAppleのiBooksなど電子書籍業界も賑わってきた.
しかし,この端末はKindleというマーケットの専用端末なので,他の会社の書籍には対応していない.なので,例えばiBooksで購入をした本をKindleの端末で楽しむことはできない.もしKindle以外のマーケットでも本をたくさん購入している場合は,その資産を活かせないということになる.これは地味に不便だ.
まとめ
Kindleは従来の紙での読書とは全く違った体験を提供してくれる.
より多くの本を読むようになり,より多くの場所で本を読むようになった.これだけでも買ってよかったと思えた端末である.
Kindle unlimitedとの相性はもちろん最高です.