陸軍と海軍を持つ方言
日本語は一つの言語であると言えば, 反論する人は一般的には少数であろう. (言語学者を除いて)これは別のいわゆる言語, 例えば英語やフランス語, ドイツ語, イタリア語といったそれぞれの名称を出しても, おそらく多くの人がそれらは言語であるということに同意してくれる.
他方で方言という区分も存在する. 例えば日本語には, 大きく分けて東と西でそれぞれ違った傾向の言葉遣いをする傾向がある. 関東方言や関西方言といった表現は使われるし, 他にもより細かく, 大阪方言, 京都方言, 広島方言, 博多方言のような様々な方言が存在していると言える.
では, このように「言語」という単位と「方言」という単位を切り分ける要素は何であろうか?
それは一般的には, 社会的なオーソリティや政治状況に基づくと考えられる. そして, そのことを端的に表現した名文が, 今回のタイトルである次の一節である.
A language is a dialect with an army and navy
この一節の出所は諸説あるようだが, いずれにせよMax Weinreichという言語学者が元であるようである.
この文は, 言語というものの定義がいかに社会的な要因によって決まってしまうかということを非常に明確に表した, 秀逸な一文であると言えるであろう.
参考文献
- Van Rooy, R. (2020). Introduction. In Language or dialect?: The history of a conceptual pair. Oxford University Press. https://doi.org/10.1093/oso/9780198845713.003.0001