言語変化の構成論的な研究.
言語は常に変化しており,それは三つの異なる時間的なスケール,生物進化,個人の学習,文化進化が相互作用し,共進化するシステムである(Nakamura et al., 2006).このダイナミクスをNowak et al. (2001)は言語動力学方程式を用いて、普遍文法の枠組みを前提とし,話者が使う文法集合を G1, . . . , Gn と定義した上で特定の言語コミュニティにおける,ある文法 Gi を使用する話者の比率を xi とし,xi の変化は動的システムとしてモデル化した.
こういったモデルをLanguage Dynamics Equation と表現しているが,このモデリングにより言語の進化のモデル等を構成論的に再現できる可能性がある.実際,Nakamura et al. (2006)はNowak のモデルを修正し,クレオールの創発をシミュレーションし,入力文の数が少なくなるとクレオール化した言語が集団内で優勢になることを示した.以前にもまとめたが,構成論的な研究分野はこういったモデリングにより言語発生等の不可逆的な現象をモデリングできることが非常に有用である.
参考文献
- 中村誠, 橋本敬, & 東条敏. (2006). 言語動力学によるクレオール化のシミュレーション (言語の進化・変化と獲得). 日本行動計量学会大会発表論文抄録集, 34, 284-285.
- M. A. Nowak, N. L. Komarova, and P. Niyogi. Evolution of universal grammar. Science, 291:114–118, 2001.