語彙共有の発達のシミュレーション
先日,構成論的な研究についての投稿をした.その中でHashimoto (2004)を引用し,構成論的な研究では実証的な観察が困難なもの,進化等の現象の理解に 意味を持つことをまとめた.
今回は構成論的な研究の具体例を1つ挙げたい. それがSteels (1995) が提唱するLanguage-Game である.(これはさらに元を辿るとWittgenstein まで遡ることができるが,今回はそこには触れない.)
Language-Game のシミュレーションでは initiator (発話者) と receiver (受信者) というエージェントを用意し,initiatorが会話を開始し,receiver が確認をする.もし内容がinitiator と receiver の間で一致していれば,その会話は成功したと判断される.
また,この会話の一連の繋がりを Steels (1995) は Dialog として下記のようにまとめている.
• Initiation: The initiator introduces the object in an extralinguistic way, for example, by pointing to it.
• Communication: The initiator uses language to identify the object.
• Reply: The receiver uses language to identify the object that he interprets the initiator is referring to.
• Confirmation: The initiator gives a final indication of whether the receiver got it right.
(Steels 1995)
参考文献
- Steels, L. (1995). A self-organizing spatial vocabulary. Artificial life, 2(3), 319-332.
- 橋本敬. (2004). 言語進化とはどのような問題か?~ 構成論的な立場から. 第 18 回人工知能学会全国大会講演論文集, 1-8.