言葉の使い方による配慮。
我々は普段会話を行う際にただただ情報を伝達するのではなく、 自分と相手の関係性について配慮しながらコミュニケーションをとっている。 例えば ペンを貸して欲しい時に、相手が友達であれば「ペン貸して」と 一言で言うかもしれないが、 もしそれが友達ではなく会社の上司であれば、「 大変申し訳ないのですが、本日筆記具を忘れてきてしまいまして・・・」というような表現に変えるかもしれない。
このように、言葉の表現方法、使い方を変えて 相手への配慮を示す行為のことをポライトネスという。
Leech (1983)はこのポライトネスと言う概念に対して 自分と相手の間に生じる利益・負担の配慮という観点から6項目の言語行動の原理を提案した。 これをポライトネスの原理というふうに表現する。その6項目が下記である。
- 気配りの原則(Tact Maxim)
(a)他者の負担を最小限にせよ
(b)他者の利益を最大限にせよ - 寛大性の原則(Generocity Maxim)
(a)自己の利益を最小限にせよ
(b)自己の負担を最大限にせよ - 是認の原則(Approbation Maxim)
(a)他者への非難を最小限にせよ
(b)他者への賞賛を最大限にせよ - 謙遜の原則(Modesty Maxim)
(a)自己への賞賛を最小限にせよ
(b)自己への非難を最大限にせよ - 合意の原則(Maxim of Agreement)
(a)自己と他者との意見相違を最小限にせよ
(b)自己と他者との合意を最大限にせよ - 共感の原則(Sympathy Maxim)
(a)自己と他者との反感を最小限にせよ
(b)自己と他者との共感を最大限にせよ
(山岡 2004)
例えば、気配りの原則(Tact Maxim)の項目を考えると「ペン貸して」というよりも「 大変申し訳ないのですが、本日筆記具を忘れてきてしまいまして・・・」の方が相手への負担が小さくなっていると考えられる。
参考文献
- 山岡政紀. (2004). 日本語における配慮表現研究の現状. 日本語日本文学, (14), A17-A39.
- 斎藤 純男 (2010). 言語学入門 三省堂