言語の特徴の1つである線状性について


人間の言語は外在化されるタイミングで線形に変換されることを以前の投稿でまとめた.このように言語は鎖のようにひと繋ぎの線として世界に存在する.この特性を線状性 (Linearity)という.

以前の投稿では,この線状性の特性(線形化)のために階層構造を一度喪失するのだが,他方でこの線状性は内容の弁別に非常に重要である.例えば,stop, post, spotという語はどの語も/s/, /t/, /ɒ/, /p/ という音素で構成されるが,これが線状に並んだ時の音素の順番によって我々は単語の意味を弁別することが可能になっている.

加えて,日本語は比較的語順が自由な言語なので実感しにくいが英語などの語順により格を指定する言語では例えば, Man stops a car. とA car stops man.で意味が異なる.つまり文という単位でも線状性によって意味を弁別していると考えられる.

線状性についてフランスの言語学者 Martinet, André がまとめているので引用したい.また,私はフランス語には明るくないのでChatGPTの翻訳文も添付する.

Toute langue se manifeste donc sous la forme linéaire d’énoncés qui représentent ce qu’on appelle souvent la chaîne parlée. Cette forme linéaire du langage humain dérive en dernière analyse de son caractère vocal : les énoncés vocaux se déroulent nécessairement dans le temps et sont nécessairement perçus par l’ouïe comme une succession.
(André 2008)

したがって、すべての言語は「話し言葉の連鎖」としばしば呼ばれる発話の線形形式で現れます。この人間の言語の線形形式は、最終的にはその音声的な性質に由来します。音声発話は必然的に時間の中で展開し、連続として聴覚によって必然的に認識されるのです。
(ChatGPT 訳)

もし口が 2 つあれば線状性の制約も大きく変わるのだろうが,我々はこの制約の中で言語を育んできたと言える.

参考文献

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