調音の方法


先日まで調音点を見てきたが,調音点だけでは区別できないものがある.例えば,「ぱ」と「ま」を見比べてみたい.音としては[pa], [ma] となる.

これを以前紹介したIPA のチャートで見てみると両方ともBilabial (両唇的)として分類される.

加えて,実際に[pa], [ma] と発音してみると,発音していく中で両方の音でちゃんと両唇がくっついて発音されていることがわかるだろう.

つまり,[pa], [ma] を 区別するためには調音点 (音を出す際に使う器官の場所)の 区別だけでは不十分と言うことになる.

では、この区別をどうやって行うかと言うと調音点に加えて,調音法(音を出す際に器官をどのように使うか) という別の観点を加えて考える.

チャートの縦軸を見てみると,/p/ はPlosive(破裂), /m/はNasal(鼻音) と分類されている.実際に手を口の前に持ってきて,/p/ と/m/ を発音すると/p/ は発音される時に空気を感じるが,/m/ は感じない(もしくは/p/より弱い)はずである.

これはPlosive(破裂)は器官を破裂させるようにして音を出すのに対して,Nasal(鼻音) は鼻を使って音を出すからである.

このように調音法(音を出す際に器官をどのように使うか) という別の観点を考慮することで,別の観点から客観的な記述ができるようになる.

参考文献

  • 斎藤, 純男, 田口, 善久, & 西村, 義樹. (2015). 明解言語学辞典. 三省堂. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB19119305
  • 川原繁人. (2018). ビジュアル音声学.
  • IPA Chart, http://www.internationalphoneticassociation.org/content/ipa-chart

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