脳波で言語理解を判断する。


脳梁の音韻処理について、以前別の記事で投稿した。

今回は別の研究の報告である。

金野 & 酒井 (2014)は脳梁を損傷した患者群を対象に音韻的逸脱文を判断する際の脳波を測定するという実験を行った。この実験では対象を健常者群、脳梁前部損傷群、脳梁後部損傷群の3群に分けて実験を実施した。

この実験結果として、健常者と脳梁前部損傷群では音韻的逸脱文を判断する際にN400という内容を認知してから400 ミリ秒後に観測される陰性の脳波が測定されたことに対し、脳梁後部損傷群ではこのN400 が欠如されたという結果が生じた。

この研究結果から、脳梁前部と脳梁後部では別々の処理が行われており脳梁後部が損傷を受けると音韻処理が適切に行われなかったということから脳梁後部は音韻処理に関する処理を行なっていると示唆する有益な発見と言えるだろう。

こういった研究の積み重ねが複眼的な視座を生み出し、最終的に大きな発見につながっていくのだろう。巨人の肩の上にのる矮人 (nani gigantum umeris insidentes)とはよく言ったもので、これまでの研究のおかげで今の我々があり、我々の研究はこれからにつながっていくのだということを胸に留めながら頑張っていきたいと思う。

参考文献

  • 金野竜太, & 酒井邦嘉. (2014). 言語のモジュール仮説. 総合リハ, 42, 27-33.

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