有名な二つの脳波であるN400とP600の再検証について考察する.
神経言語学において広く知られているN400とP600という脳波が存在する.N400は語彙的および意味的異常が処理される際に引き起こされる負の電位であり,P600は文法的または意味的な不整合がある際に見られる正の電位である.これらの二つの脳波は,その発表以来,長らく言語処理研究において重要な話題となってきた.最近,これらの脳波に関して再検証を行った論文が発表された.本文はまだ読んでいないが,イントロダクションによると以下のような内容であるようだ.
この研究は,言語処理に関連する事象関連電位(ERP)の主要なコンポーネントであるN400およびP600の計測特性を検討するものである.特に,これらのコンポーネントにおける時間的および空間的パラメータの変動性に焦点を当てている.ブートストラップリサンプリング手法を用い,187名の被験者と各条件における40文の刺激文から多数のリサンプルを抽出し,統計的検出力,効果の大きさの変動性,および効果の時間的および空間的プロファイルの変動性を評価した.その結果,N400およびP600効果は頑健である一方で,特にP600効果において効果の大きさや開始時間,頭皮上の分布に高い変動性が見られることが明らかとなった.これにより,将来のERP研究設計に対する基盤が提供されると同時に,今後の研究で取り組むべき課題が示唆される.
参考文献
- Seyednozadi, Z., Pishghadam, R., & Pishghadam, M. (2021). Functional role of the N400 and P600 in language-related ERP studies with respect to semantic anomalies: an overview. Archives of Neuropsychiatry, 58(3), 249.
- Kim, A. E., McKnight, S., & Miyake, A. (2023). How Variable Are the Classic ERP Effects During Sentence Processing? A Systematic Resampling Analysis of the N400 and P600 Effects.