名詞としての性質の階層について


我々はよく名詞(Noun)や動詞(Verb)といったように語を品詞に分けることがある. 例えば, 英語の授業で「英語の名詞には単数系と複数形がある」というような表現をよく用いるはずだ.

しかし, 実際には名詞っぽいが何か違うというような絶妙な語も存在する. Ross (1972)はこういった表現が名詞であるかについて階層性を主張している. これを名詞性階層(Nouniness Squish)という. その階層と具体例をHatakeyama (2019)から引用する.

階層性
that 補文 < for-to 補文 < WH 補文 < 対格+ing < 所有格+ing < 活動名詞 < 派生名詞 < 名詞
具体例
a. That he does not prepare dinner is good for her health.
b. For him not to prepare dinner is good for her health.
c. Why he does not prepare dinner is good for her health.
d. Him not preparing dinner is good for her health.
e. ?His not preparing dinner is good for her health.
f. *His not preparing of dinner is good for her health.
g.*His not preparation of dinner is good for her health.
(Hatakeyama, 2019)

確かにこれを見るとaほど容認度が高く, bほど容認度が低くなっている.
ここで個人的に勉強になるのは, Rossの名前が出ていることもあるが, これはどちらかというと生成文法ではなく認知言語学的なアプローチであり, 語の捉え方が全く異なっている点が非常に興味深いと感じている.
最近, 認知言語学にも強く関心を持つようになっており, こういった異なる視座の研究もより深く学びたい.

  • Ross, J. R. (1972, April). The category squish: Endstation hauptwort. In Chicago Linguistic Society (Vol. 8, pp. 316-328).
  • 畠山雄二.(2019). 理論言語学史

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