擬似語


言語の構成要素として単語 (word) がある. 単語はより大きな単位である文 (sentence) を構成するが, その基本単位は単語であり, 人間の脳はこの単語を処理するための語彙処理機能を持つと考えられている.

語彙処理を脳科学的に観察する際には, 語の情報を操作できるような工夫が必要となる. このような実験で有効なのが, Pseudowords (擬似語) と呼ばれるものである.

具体的には, 疑似語とは英語の正字法のルールに従い, 発音可能であるものの, 実際の言語に存在せず, 意味を持たない文字列として定義される. 例えば, [blik] (Chuang et al, 2021) というような語がそれにあたる. これを用いることで, 有意味な単語の処理が, 意味を持たないと仮定される音や文字列の処理とどのように異なるかを調べることが可能になる.

実際に, Xiao et al. (2005) では, このPseudowords (擬似語) と実在語 (real word) を用いた比較実験が行われ, その観察結果として左下前頭回 (IFG) が優位に活性化したとの報告があり, 脳と言語処理の関係性を明らかにすることに貢献している.

参考文献

  • Pseudowords(https://www.med.upenn.edu/bbl/pseudowords.html)
  • Chuang, Y. Y., Vollmer, M. L., Shafaei-Bajestan, E., Gahl, S., Hendrix, P., & Baayen, R. H. (2021). The processing of pseudoword form and meaning in production and comprehension: A computational modeling approach using linear discriminative learning. Behavior research methods, 53, 945-976.
  • Xiao, Z., Zhang, J. X., Wang, X., Wu, R., Hu, X., Weng, X., & Tan, L. H. (2005). Differential activity in left inferior frontal gyrus for pseudowords and real words: An event‐related fMRI study on auditory lexical decision. Human brain mapping, 25(2), 212-221.

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