言語研究の分類
言語学とは, 言語の構造や処理を体系的に考察する学問である. しかし, 言語は極めて複雑な現象であり, その研究対象は多様であるため, 様々な側面から検討する必要がある.
Yusa (2018) は言語研究の分類を提示しており, その整理は非常に優れたものである. 以下に, Yusaの分類に基づく言語研究の4つの問いを示す.
- 言語設計の問題
- 言語とは何か
- 言語獲得の問題
- 言語はどのように獲得されるのか
- 言語使用の問題
- 言語はどのように使用されるのか
- 言語の脳科学的問題
- 言語の脳内基盤は何か
- 言語進化の問題
- 言語はどのようにして現在の形になったのか
(Yusa, 2018, p. 2)
もちろん, これは多くの分類法の一つに過ぎない. しかし, この分類法は各研究課題を明確に区分しており, 研究の方向性を定める上で非常に有用である. 私自身は, 特に「言語獲得の問題」,「言語の脳科学的問題」,「言語進化の問題」に強い関心を持っている.
ただし, この分類が示唆するように, 各問題が互いに独立しているわけではない. 実際の研究では, これらの問題は密接に関連していることが多い. よって, 分類に拘泥せず, 全体の関連性を考慮しつつ進める姿勢が重要である.
参考文献
- 遊佐典昭(編)、杉崎鉱司、小野 創、藤田耕司、田中伸一、池内正幸、谷 明信、尾崎久男、米倉 綽. (シリーズ監修 西原哲雄, 福田稔, 早瀬尚子, 谷口一美). (2018). 言語の獲得・進化・変化―心理言語学、進化言語学、歴史言語学 (言語研究と言語学の進展シリーズ3). 開拓社.