人間の言語の意味というのは, 非常に難しい領域である. こういった意味を扱う方法の1つとして論理学がある. そしてアリストテレス論理学以来の伝統において, 命題(categorical propositions)を「量(Quantity)」と「質(Quality)」という2つの軸で分類し, 4つの基本形式に整理した「対当の正方形(Square of Opposition)」という枠組みがある. 今回はこれをDemey (2020) に基づいて見てみたい.
命題の4形式(A, E, I, O)の定義
命題は, その範囲(量)が全体(Universal)か特定(Particular)か, および内容(質)が肯定(Affirmative)か否定(Negative)かの組み合わせにより, 以下の4つに分類される.
| 記号 | 分類 | 形式 | 英語の例 | 論理的意味 |
|---|---|---|---|---|
| A | 全称肯定 | 全てのSはPである | All S are P. |
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| E | 全称否定 | 全てのSはPではない | No S is P. |
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| I | 特称肯定 | あるSはPである | Some S is P. |
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| O | 特称否定 | あるSはPではない | Some S is not P. |
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これらの4形式は「正方形」の角に配置され, それぞれの間に特定の論理的制約(対当関係)が成立する.
- 矛盾関係(Contradictories / A-O, E-I): 対角線上の関係. 一方が真であれば他方は必ず偽となり, 中間は存在しない.
- 反対関係(Contraries / A-E): 上辺の関係. 両方が真になることはできないが, 両方が偽になることはあり得る.
- 小反対関係(Subcontraries / I-O): 下辺の関係. 両方が偽になることはできないが, 両方が真になることはあり得る.
- 大小関係(Subalternation / A-I, E-O): 垂直の関係. 全称が真であれば, 対応する特称も真となる(※伝統的論理学の存在前提に基づく).
参考文献
- Demey, L. (2020). Between Square and Hexagon in Oresme’s Livre du Ciel et du Monde. History and Philosophy of Logic, 41(1), 36-47.