脳研究の基礎的な方法
以前の投稿では,機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)が脳研究で広く用いられ,血流変化(より正確には血中酸素濃度の変化)を観察することを述べた.
今回は,fMRIを用いて脳の活動領域を特定する手法である差分法(Subtraction Method)をまとめる.
差分法は,特定の認知機能や脳活動を解析するための重要な手法であり,具体的には,特定のタスクを実行している際の脳活動と,対照タスクを実行している際の脳活動を比較することによって,関心のある認知プロセスに関連する脳領域を特定する方法である.
この手法は,様々な分野の脳研究で利用されているが,近年では他の手法も提案されている.
この背景には,差分法が機能局在仮説(脳は部位ごとに異なる機能を担うという仮説)に基づいている一方,脳を総体としてネットワーク的に捉えるという考え方が広まりつつあることがある. このように,前提となる仮説に対して,批判的な視点が近年の脳科学では重視されるようになっている.
参考文献
- 小川健二. (2018). 心理学研究のツールとしての脳イメージングの最前線. イメージ心理学研究, 15(1), 13-17.
- 横山悟. (2010). 脳からの言語研究入門: 最新の知見から研究方法まで.