親をまねることで後天的に獲得される言語
人間やある種の動物において言語能力に決定的な差を見出せる部分がある。 その1つが発声学習と呼ばれるものである。
これは外部から与えられた刺激を新たな発声パターンとして獲得することを指す。 例えば、 ある種の小鳥は親の真似をすることで発声パターンを後天的に獲得することができるし、 人間も親から聞いた音声情報もとに新たな発声パターンを獲得することができる。
この発声学習が可能な種は非常に限定されており、現在確実に発生学習をしていると思われるのは下記の数種類である。
- ヒト
- 鯨・イルカ類
- コウモリ類
- ゾウ類
- オウム・インコ類
- ハチドリ類
- 鳴禽類
例えば、イルカの1種には挨拶用の署名声を 親から学習する種類も存在し、 他にもザトウクジラのオスは 他のオスから歌を学習することができる。
興味深いことに、この発声学習を可能とする動物の1部では、脳の構造に特異的な特徴があることが発見されている。 Okanoya (2010) によるとそれは大脳皮質運動野と延髄呼吸発声中枢を直接連結する神経繊維である。
この神経繊維は発声学習を行うキンカチョウとジュウシマツでは発見されているが、発声学習を行なうことのないハトでは同定されていないとのことだ。
参考文献
- 岡ノ谷一夫. (2010). 言語起源の生物学的シナリオ. 認知神経科学, 12(1), 1-8.
- Sánchez-Valpuesta, M., Suzuki, Y., Shibata, Y., Toji, N., Ji, Y., Afrin, N., … & Wada, K. (2019). Corticobasal ganglia projecting neurons are required for juvenile vocal learning but not for adult vocal plasticity in songbirds. Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(45), 22833-22843.