声帯の状態
以前までの投稿で調音音声学では音を次の三つの観点から捉えると記した.
- 調音点 : 音を出す際に使う器官の場所
- 調音法 : 音を出す際に器官をどのように使うか
- 有声性 : 音を出す際の声帯の状態はどうなるか
ここまでで調音点と調音法はすでに学んだので,最後に有声性についても触れておきたい.
有声性とは簡単に述べれば,その音を発する時に声帯の振動が伴うかどうかだと言える.
例として,[k] と[g]を比べてみよう.「かかかかか」[kakakakaka]という音と「ががががが」[gagagagaga]という音を発音してみてほしい.その際に喉仏のあたりに指を置いて両者を発音すると,[kakakakaka]の時は振動を感じないのに対して,[gagagagaga]の時は振動を感じるはずだ.振動がない音は無声音,振動がある音は有声音として区別され.これらを有声性として扱う.
IPA チャートを見ると確認できるが,[k] と[g]は共にVelar (軟口蓋)でPlosive (破裂)として発音されるため,調音点と調音法だけでは分類できない.
しかし,この有声性という観点を加えることで[k] と[g]の区別が可能になる.