3種類の失語症


神経言語学の元を辿れば失語症研究は避けて通れないであろう。

以前投稿した通り、この失語症はフランスの外科医・解剖学者・人類学者であるポール・ブローカ(Paul Broca)のルボルニュという言語障害を患っていた患者の観察から始まったと言える。

その後、ドイツのカール・ウェルニッケ(Carl Wernicke) からも異なった症状の失語症がまとめられ、現在の脳科学で言語野というと主にこの2人が研究したブローカ野とウェルニッケ野が想定される。

そして、この 2 人が提示した失語症として、Broca 失語、Wernicke 失語、さらに両方の特徴を備える全失語という3 種類を代表的な失語症とまとめておきたい。

失語症名 言語産出能力 言語理解能力
Broca 失語 ・非流暢
・慣用表現保持
・文の複雑性低下
・良好
・複雑な文の理解力低下
Wernicke 失語 ・流暢
・音素の誤用あり
・自覚症状ない傾向強い
・不良
・重度では単語も理解不能
全失語 ・非流暢 ・不良

簡単にまとめれば、Broca 失語は言語産出能力においての障害が認められ、Wernicke 失語は言語理解能力においての障害が認められる。全失語はその両方が認められる。

参考文献

  • Kemmerer, D. (2014). Cognitive neuroscience of language. Psychology Press.Minagar A, Ragheb J, Kelly RE: The Edwin Smith surgical papyrus: description and analysis of the earliest case of aphasia. J Med Biogr 11: 114-7, 2003
  • 木下裕昭. (2010). 失語症における言語の産出と理解. 和洋女子大学紀要, 50, 187-200.

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