Complementiser とは
人間の言語は文と文を接続し, 主節と従属節のような形でさらに複雑な複文を作ることができる.
補文標識(complementiser, C)は, 複文において主節と従属節を結びつける役割を果たす要素である. 具体的には, thatやifなどが補文標識として機能し, 従属節が平叙文であるか疑問文であるかを明示する. 補文標識は, 従属節の文タイプを示すと同時に, 主節の動詞が必要とする意味情報を補完することで, 文全体の意味を確定する助けとなる.
例えば, 「Alice thought that John won the race.」という文においては, thatが補文標識として機能し, 従属節が平叙文であることを示している. 同様に, 「Alice asked if John won the race.」では, ifが補文標識として機能し, 従属節が疑問文であることを示す. このように, 補文標識は文の統語構造の解釈において重要な役割を担っており, 従属節の文タイプを明確にすることで主節との意味的整合性を保つ助けとなる.
補文標識の使用は, 複文の統語解析においても重要であり, 疑問文や関係節における解析でもその位置と機能が文の構造と意味を一貫して捉えるために欠かせない要素である.
参考文献
- 杉崎, 鉱司, 稲田, 俊一郎, 磯部, 大津, … & 水光雅則. 言語研究の世界: 生成文法からのアプローチ.