第3要因とはどのようなものが想定できるか


ミニマリスト・プログラムの登場以降, 普遍文法(Universal Grammar; UG)は簡素化を目指して検討されてきた. その一環として, 言語固有の特性に依存しない, 自然界に普遍的な一般法則を第3要因(The Third Factor)として検討する動きがある.

今回はその具体例として, Tanaka (2018) の研究を引用し以下にまとめる.

  • principles of data processing and analysis
  • economy of derivation
  • interface conditions
  • performance systems
  • general cognitive capacities, general learning strategies
  • architectural and computational constraints developmental constraints and canalization in embryology
  • physical law
  • mathematical principles, e.g., symmetry
  • mathematical patterns, e.g., Fibonacci series
  • laws of form (sensu Thompson 1917)

(Tanaka, 2018, p. 172)

例えば,以前の投稿でも触れた Canalization (運河化)の概念が含まれているが, こうした第3要因の仮定により, 普遍文法の構造をより簡潔に説明することが可能となる. これは, ミニマリスト・プログラムが従来の生成文法の理論から大きく方向転換を遂げたことを示している.

参考文献

  • 遊佐典昭(編)、杉崎鉱司、小野 創、藤田耕司、田中伸一、池内正幸、谷 明信、尾崎久男、米倉 綽. (シリーズ監修 西原哲雄, 福田稔, 早瀬尚子, 谷口一美). (2018). 言語の獲得・進化・変化―心理言語学、進化言語学、歴史言語学 (言語研究と言語学の進展シリーズ3). 開拓社.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です