主要な述部ともう一つの述部


人間の言語には文中に多様な要素が埋め込まれる, その中の一つに二次述部(Secondary Predicate)と呼ばれる構造がある. 二次述部とは, 文の主要な述部とは別に, 形容詞や名詞句が追加で述語的役割を果たすものである. たとえば英語における“He ate the meat raw”という文では, 主要な述部は「食べる(eat)」であり, 「the meat raw(肉が生の状態で)」という二次述部が肉の状態を同時に表現している.

この二次述部は, 描写的用法(depictive)と結果的用法(resultative)という二種類に分類される. 一部の言語, 例えばロマンス語, スラヴ語, アルバニア語では, 描写的用法が豊富であるにもかかわらず, 結果的用法の二次述部が体系的に許されない場合がある. これらの言語では, 形容詞と名詞の間に強い格や屈折の一致関係が観察される.

さらに, 描写的用法や結果的用法とは異なる, 文全体に付随して状況や条件を表す用法も存在する. これらは統語的に独立性が高く, 文の主要部から離れて移動することが可能である. 具体例としては, 文の冒頭に置かれる「怒っていたが, 彼は出発しなかった」のような構造が挙げられる.

このように, 二次述部は主要な動詞が示す出来事に対し, 同時性や結果, 状況補足など多様な情報を付加する独自の仕組みを持つ. その機能は「もうひとつの述部」を文中に組み込み, 文の意味をより豊かにする点にあると言える.

参考文献

  • Irimia, M. A. (2005). Types of secondary predication. Toronto working papers in linguistics, 25.

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