動詞の移動


言語には動詞というものがある. この動詞は, 主動詞と助動詞のような区別ができる.

Pollock (1989)はこの区別を用いながら, 近代の英語では動詞の移動は, 助動詞のbeとhaveに限定され, 主動詞は移動できないと述べている. 今回着目したいのはこの主張というよりも, それを判断した手法である.

Pollock (1989)はこの違いを副詞や否定辞の位置によって説明を試みていた.

次の二つの文を見たい.

  1. *John kisses often Mary.
  2. John often kisses Mary.

(Pollock 1989, p. 367)

1の文は非文法的であり, 2の文は文法的である. この現象が起こる理由として, 1が非文となるのは, 主動詞 kisses が時制辞 (Infl) へと移動できないからであり, 正しい文は, 動詞が元の位置にとどまり, 副詞がその前に来る 2 の形であるという観点から説明している.

つまり, 副詞を追加しその副詞の位置と動詞の位置をもとに理論構築をしているわけである. こういった観点は, 以前見たようなConstituency Test (構成素テスト)と似たように文を客観的に分析する技法の一つとして認識しておきたい.

参考文献

  • Pollock, J. Y. (1989). Verb movement, universal grammar, and the structure of IP. Linguistic inquiry, 20(3), 365-424.

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