述語重複構文


言語の要素はさまざまな観点から分類でき, その一つに述語がある. 本稿では述語に関する構文の一つであるPredicate Doubling Construction(述語重複構文)について, Ishihara (2010, 2013) に基づいて見ていく.

述語重複構文とは, 同じ述語(動詞や形容詞など)を文の中で二度繰り返す構文を指す. 特に日本語では, 一度目の述語の後に「こと」や「の」といった形式名詞と助詞「は」が続き, 文末で再度同じ述語が繰り返される形を取る. 具体例をIshihara (2010)から見ていく.

(1)太郎はリンゴを むいた こと/の/には むいた (が 食べなかった).

Taroo-wa ringo-o mui-ta koto/no/ni-wa mui-ta (ga tabe-nakat-ta).

‘As for Taro’s peeling the apple, he did peel it (but he didn’t eat it).’

(Ishihara, 2010) (なお, 日本語表記の文は筆者による)

この構文は, 文の最初の部分(TPまたはvPと呼ばれる節の単位)が文頭に移動し, 元の位置にもその一部がコピーとして発音されることで形成されると分析されている.

参考文献

  • Ishihara, Y. (2010). Non-identical verb forms in the Japanese predicate doubling construction. Linguistic Research, 26, 39-65.
  • Ishihara, Y. (2013). Nominalization in the Japanese predicate doubling construction. English Linguistics, 30(1), 269-291.

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