新しいモデル


生成文法の最新のモデルは, ミニマリストプログラムであるが, このミニマリストプログラムの前身のような原理とパラメーター理論と呼ばれる理論がある. この理論は, 説明的妥当性と記述的妥当性の緊張を大きく解消したと言われた理論であるが, この理論をChomskyは伝統的なものからの断絶と言語観を変異させたものとして説明している. Chomsky (1994) から次の文章を引用したい.

These efforts culminated in the P&P model, which constituted a radical break from the rich tradition of thousands of years of linguistic inquiry, far more so than early generative grammar, which could be seen as a revival of traditional concerns and ways of addressing them (which is why it was more congenial to traditional grammarians than to modern structural linguists). The basic assumption of the P&P model is that languages have no rules at all in anything like the traditional sense and no grammatical constructions (relative clauses, passives, etc.) except as taxonomic artifacts. There are universal principles and a finite array of options as to how they apply (parameters). 

(Chomsky, 1994)

これらの努力はP&Pモデルにおいて頂点に達したが、これは数千年にわたる言語探求の豊かな伝統からのラディカルな断絶を意味した 。その断絶は、伝統的な関心事とそれに取り組む方法の復活と見なすことができた初期生成文法(だからこそ、初期生成文法は現代の構造言語学者よりも伝統的な文法学者に受け入れられやすかった)よりも、はるかにラディカルなものであった 。P&Pモデルの基本的な仮定は、言語には伝統的な意味での規則は一切存在せず、分類上の産物として(taxonomic artifacts)以外には(関係節や受動態などの)文法構文も存在しないというものである 。存在するのは、普遍的な原理と、それらがどのように適用されるかに関する有限個の選択肢(パラメータ)だけである 。

(Gemini 訳)

これを見るとわかるが, 今までの理論では, 様々な規則といったものが想定されていたが, 原理とパラメーター理論では普遍的な原理とパラメーターを想定するのみになっている. つまり, 規則と言うのは, 原理とパラメーターによる結果と考えることができるだろう. この発想は後のミニマリストプログラムにつながる前身として非常にしっくりくるものである.

参考文献

  • Chomsky, N. (1994). Bare phrase structure (Vol. 8). Cambridge, MA: MIT press.

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