混ぜ合わせる
人の言語能力で意味の処理を考える際, 我々は驚くほど多様な意味解釈を実現することができる. しかもそれは柔軟で, 動的な処理である. 例えば要素Aと要素B, この2つを同時に受け取った時に, 新たなイメージである要素Cを創造することもできる. (あくまでイメージとして) 例えばだが, 昔テレビとビデオを掛け合わせた, テレビデオのようなものがあった. これもまた要素Aと要素B, この2つから新たなイメージである要素Cを創造したようなものである.
しかし, こういった事はどのように実現されているのだろうか. Fauconnier and Turner (1998) はBlending (ブレンディング) という認知操作を提唱している.
このブレンディングの核心は, 異なる複数の「入力メンタルスペース」から概念構造を選択的に引き出し, それらを「ブレンデッドスペース (Blended Space)」と呼ばれる独立した新しいメンタルスペースにおいて統合することだ. 言い換えるならば, 先ほどまとめていた要素Aと要素B, この2つから新たなイメージである要素Cを創造する操作をモデリングしたような提案と捉えることができるだろう.
このように, 我々が普段当然のように行っている事象も, 改めて考えてみると, とても深い研究ができることがわかるだろう.
参考文献
- Fauconnier, G., & Turner, M. (1998). Conceptual integration networks. Cognitive science, 22(2), 133-187.