原子と語彙


引き続き, Bodeの Coordination and the Strong Minimalist Thesis を読んでいる.

著書の中でBodeは, Syntaxへの入力は何かという観点からThe Atoms of Computation(計算の原子)というものの検討をしており, さらにそれはLexical Items(語彙項目)ではないと論じている.

この対比を以下の表にまとめた.

Dimension The Atoms of Computation (UG Atoms) Lexical Items (Words/Morphemes)
Domain 第一要因: UG / 生得的資質 第二要因: 経験 / 外在化
Acquisition 生得的 (獲得なし): 生物学的に決定されており, 学習されない. 学習される: 環境 (特定の言語) から獲得される.
Universality 均一: 人類全体に普遍的. 多様: 言語によって異なる (例: 英語対ドイツ語).
Internal Structure 非構造的: 点のようで不可分. Mergeのみが構造を作る. 構造的: 内部構造を持つ (例: inter-act-ion).
Quantity 有限: 無限のリストは突然進化できない. 非有限: 開放クラス; 絶えず増加し成長している.
Concreteness 抽象的: 音韻的特性やモダリティを持たない. 具体的: 特定の音韻的 (PHON) または手話による実現を持つ.
Stability 安定的: 不変で変化しない. 不安定 / 可変性: 歴史的変化や個人の成長の影響を受ける.
Role in SMT 入力: Mergeによって操作される原材料. 出力 / 挿入: 統語後に挿入される (後期挿入) / 外在化の結果.
(Bode, 2024, pp. 30-33)

これを見ると, Lexical itemsに対しての認識が大きく変わる.

非常に興味深い対比である.

参考文献

  • Bode, S. (2024). Coordination and the strong minimalist thesis. Routledge.

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