Coordinateは内在的?外在的?


等位構造(Coordinate Structure)が生成文法の研究史において非常に重要な研究トピックの1つであったことは、以前からまとめている通りである. そしてその中では様々な提案がなされている. 最近なされている提案では(e.g., Fong & Oishi, 2025)、等位構造の接続部分は、外在化による表出であるというような提案もなされている.

他方で、Nakajima (2024) を見ると、Coordinateにおいて表出の重要性がわかる例文がある.

A. Bill met John and Mary.

B. *Bill met John Mary.

(Nakajima, 2024, p. 191)

これら2つの文の違いは、andの有無という1点に絞られる. しかし、andがある場合は文法的であり、ない場合は非文法的であると捉えることは、必ずしも接続部分は外在化のみで行われる現象ではないことを示唆している.

これらのことから、また1つ検討事項が増えるが、こういった外在化・内在化の判断は非常に慎重に進めていかなければならないことがよくわかる良い例だと考える. 本当に理論の構築は難しいものである.

参考文献

  • Fong, S., & Oishi, M. (2025). On the nature of FormSet. Linguistic Variation. https://doi.org/10.1075/lv.24032.fon
  • 中島崇法. (2024). 作業領域に基づく等位接続構造の構築. 石井透・後藤亘・小町将之・宗像孝 (編), 『極小主義における説明理論の挑戦』 (pp. 184–207). 開拓社.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です