省略現象
等位構造の分析においては, 様々な現象が確認されている. Ellipsis (省略現象) もその一つである. 今回は Haspelmath (2007) に基づいて, この Ellipsis をまとめる.
Ellipsis を簡単に整理すると下記のようになる.
- 共通部分を省略し, 発話を短くする現象の総称である.
- 省略された部分は, 前後の文脈から復元できる.
例えば, 次の文を見てみよう.
- I ate an apple one week ago and an orange yesterday.
これは and 以降の文に, 本来含まれているはずの “I ate” が省略されていることがわかる. つまり, 共通部分を省略することで発話を短くしているのである. 文脈から省略部分には “I ate” が入ると推測でき, 実際にこれを補えば正しい文が復元できる. こういった現象を Ellipsis (省略現象) と呼ぶ.
この現象は, 等位構造において非常に興味深いものであり, 様々な観点から研究されている. また, 以前別の投稿で言及した Gapping (空所化) や Stripping (ストリッピング) もこの現象の一種である.
参考文献
- Haspelmath, M. (2007). Coordination. In T. Shopen (Ed.), Language typology and syntactic description: Vol. 2. Complex constructions (2nd ed., pp. 1–51). Cambridge University Press.