フィラー・ギャップ関係
人の言語には, 様々な現象があることをたびたび確認している.
その中の1つにfiller-gap dependency(フィラー・ギャップ関係)がある. これらは「(フィラー)filler」と「(ギャップ)gap」と呼ばれる概念を用いて, 文の中で要素が本来の位置から移動した際に生じる関係性を指す.
次の例文を見てみよう.
- The cake that the girl baked _ for the party was delicious.
(その女の子がパーティーのために焼いたケーキは美味しかった)
この文では, 本来「baked(焼いた)」の目的語(何を?)であるはずの “The cake” が文頭に移動している. この移動した要素をfiller, そして要素が抜け落ちて空席となった元の位置をgapと呼ぶ.
フィラーとgapの関係は, 必ずしも隣接しているわけではない. 上の例のように, 両者の間に他の語句が挟まる「非局所的」な関係になることが多い. そのため, 読み手や聞き手は, 文を理解する過程でギャップの位置を見つけるまで, フィラーの情報を一時的に記憶システムに保持しておく必要がある点が研究を面白いものにしてくれる.
参考文献
- 矢野, 雅貴. (2020). 日本語のかき混ぜ文における filler–gap 依存関係の処理―持続的な脳活動は何を反映しているのか―.日本言語学会第160回大会 発表論文予稿集(オンライン開催).