英語における様々な否定


以前の投稿で, 否定(Negation)について様々な内容をまとめた.

否定は人間言語の面白い特徴であり, なおかつ, 全体の否定や部分否定といった複雑な文構造を考慮する際にも重要な観点になってくる. この否定に関して, とりわけ英語の否定をとても面白い形で, Hiraide (2020) がまとめている次の文章を引用しよう.

否定表現における英語の特徴は, 日本語ではできないさまざまな言い方ができることである. それはまるで, ゲームのように, 否定表現を楽しむ感がある. まず否定語には, 形容詞・副詞・名詞として自由に使える no があり, また文の否定に使われる副詞の not, nay, never, nowhere があり, また形容詞・代名詞・副詞の nor, neither, 代名詞の none, nothing, nobody, 名詞の naught など, 〈n-〉で始まるさまざまな語がある. 〈n-〉で始まるのは, 元が古代の否定語 ne で, それにさまざまな語がついて合成されたためである. 例えば no の元は nā = ne + ā (= ever), not は naught (nought) /nɔ:t/ = nā + wiht (= thing), never は ne + ǽfre (= ever), none は ne + ān (= one) といったようになる. また not をどの位置に置くかによって, 文全体を否定したり, 特定の語や句や節だけを否定することもできる.

この文章で言及されているように, 英語の否定表現には様々なものが存在している. 特に代名詞の none や nothing で否定を表現するのは, 日本語とは異なる発想を持ち, 非常に興味深い. それに加え, 語源に言及しているのもこれまた非常に面白い.

他方で, 私の専門である統語的な観点で考えれば, こういった歴史的背景の関わりと, この歴史的背景によって構成される文構造は, 非常に分析が難しいものであり, なおかつ学術的に非常に面白いものである.

参考文献

  • 平出昌嗣. (2020). 英語と日本語における否定. 千葉大学教育学部研究紀要, 68, 271-279.

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