内的併合と外的併合
そもそも生成文法は, ミニマリスト・プログラムの直前までに大きく2つのアイデアを発展させてきた. それがX-bar理論とα移動である. この2つの操作を, 併合という1つの操作で説明できるようにしたのが2種類のMergeであり, それぞれ以下のように定義される.
- External Merge (外的併合): {α, β}の両方が他方の外部に存在する場合に起こる操作.
- Internal Merge (内的併合): {α, β}の一方が他方の内部に存在する場合に起こる操作.
簡単に言えば, それまでのX-bar理論のアイデアに相当するものがExternal Merge (外的併合) であり, α移動に該当するのがInternal Merge (内的併合)である. この2種類のMergeを仮定することで, ミニマリスト・プログラムではMergeのみを用いた理論の構築が可能になった.
参考文献
- Chomsky, N. (2004). Beyond explanatory adequacy. Structures and beyond, 104-131.
- 遊佐典昭(編)、杉崎鉱司、小野 創、藤田耕司、田中伸一、池内正幸、谷 明信、尾崎久男、米倉 綽. (シリーズ監修 西原哲雄, 福田稔, 早瀬尚子, 谷口一美). (2018). 言語の獲得・進化・変化―心理言語学、進化言語学、歴史言語学 (言語研究と言語学の進展シリーズ3). 開拓社.