等位構造はどちらにつくか
等位構造は, 生成文法の中でも分析が難しい歴史を持っていることを以前の投稿でまとめた. その等位構造の特性の1つに, 非対称性というものがある.
Ross (1967) によれば接続詞は常に2つ目の文に対してつき, 決して一つ目の文にはつかないということを次の例を挙げて述べている.
(1) John left, and he didn’t even say good-bye.
(2) John left. And he didn’t even say good-bye.
(3) *John left and. He didn’t even say good-bye.
(Ross, 1967, p. 163)
(1) ジョンは去った, そして彼はさよならさえ言わなかった.
(2) ジョンは去った. そして彼はさよならさえ言わなかった.
(3) *ジョンは去りそして. 彼はさよならさえ言わなかった.
(Gemini 訳)
日本語の文の訳を見ればわかるが, 確かにこれは日本語でも同じ現象に見られるだろう. このことから, 等位構造の接続詞は対称的な振る舞いではなく, 2番目の文につくという非対称的な振る舞いを見せることがわかる.
参考文献
- Ross, J. R. (1967). Constraints on variables in syntax.