類人猿種と言語
言語を進化上の観点から考えると, そこには進化のストーリーラインが描けることになる. しかしこれが実際にどうだったかを推測することは非常に難しい. 進化上の観点では, 我々と最も近しい分類が成される類人猿を見ても, 我々との言語能力には隔たりがあり, さらにその類人猿内でも異なる特徴が見られる. こういった観点をDeacon (1997)は見事に表現している. 次の引用を参照する.
It’s easy in hindsight to arrange the history of long-distance communication from telegraphs to telephones to cellular phones to Star Trek communicators.
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Among our closest relatives , the great apes, there are both highly vocal (chimp) and nearly silent (orangutan) species. (Deacon, 1997, p. 30)
振り返ってみるのは簡単であるが, 実際にそれがどうなっていたのかを検討することが非常に難しい. 加えて指摘されているように, 同じ類人猿でも発声を多く行うチンパンジーのような種もいれば, ほとんど行わないオラウータンのような種もいる. これらの違いはこういった研究を行う際に非常に興味深い点である.
参考文献
- Deacon, T. W. (1997). The symbolic species: The co-evolution of language and the brain. W.W. Norton.