収束と破綻


生成文法のミニマリストプログラムでは, 言語に関わる3つのコンポーネントを仮定する. それが統語演算システム, 感覚運動システム, 概念・意図システムの3つである. そして言語は, それぞれのシステムが課す最適なインターフェース条件を満たすような特性を持つとされる.

統語演算システムから出力された言語表現が, 感覚運動システムと概念・意図システムの両方で解釈可能である状態をConvergence (収束)という.

他方で, 感覚運動システムか概念・意図システムのどちらかで解釈不可能となる状態をCrash (破綻)という.

つまり, 言語システムから出力される表現は, 感覚運動システムと概念・意図システムの両方にとって, 解釈可能かつ最適な形態でなければならない. これは, 非文法的な文が無限に算出されることを防ぎ, 文法的な文のみを算出するために必要な理論上の条件であると考えられる. 理論言語学の研究においては, こうした条件によって, 実際にどのような文が容認可能であり, どのような文が容認不可能なのかを検討する必要がある.

参考文献

  • 原口, 庄輔 & 中村, 捷. (1992). チョムスキー理論辞典. 研究社出版.
  • 渡邊, 明. (2013). ミニマリストプログラム序説: 生成文法のあらたな挑戦. 岩波書店.

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